Cute Movies
監督:オキサイド・パン ダニー・パン(パン・ブラザース)
【驚異の映像作家パン・ブラザースの放つイマジネーションはマトリックス以来の興奮だ! ホラーオタクのカリスマここに降臨!】
いつの頃からか、ホラーはストーリーがおろそかになり、斬新なスタイルだけが先行し今日に至ってきた。怖がらせることに徹底し“遊び”や“美学”が失われていったのだ。
昨今人気のホラー「キューブ」「ソウ」シリーズがまさにそれだ。はっきり言ってかっこはいいが中身は零点だ。“クール”に撮っていればいいのさ!という風潮がホラーをダメダメにしていったことだけは事実で、かつて“ホラームービー、オタク”にとってのバイブル「ゾンビ」や「サスペリア」に描かれていた文明批判やディープな鮮血美など、どこ吹く風・・・。
ホンモノのホラーはもう終わったなあと嘆いていた今日この頃。だが、しかしいやあ、驚いた!この「リサイクル―死界―」には失われてたホラーの神髄が全てあるのだ!
しかもホラーの帝王「ゾンビ」シリーズのジョージ・A・ロメロの“文明批判と空虚感”。イタリアンホラーの鬼才ダリオ・アルジェント作品で見られた“色彩感覚と映像美”。そして、サム・ライミ作品のような“遊び”もきっちりとこの作品には網羅されている。
香港、タイを拠点に活動し、スタイリッシュな映像と独特な作風を持つダニー&オキサイド・パンのパン・プラザース(パン兄弟)監督!とにかくアンタたちはエライ!
廃墟と化したアパートから突如現れる観覧車・・・ゴミの山から出現する巨大な玩具たち・・・主人公が彷徨する死界・・・。そのイマジネーションに感服だ!
そして極めつけはヒロインで女流作家ディンインを演じるアンジェリカ・リーの登場!なんせこれだけ正当派のホラークィーンを拝めるのは「サスペリア」のジェシカ・ハーパー以来でしょ!影のある美しさ、観客を不思議な死界へと誘うあの眼差し・・・どれをとっても文句なし!アンジェリカ!あんたは真のホラークィーンだ!
「リサイクル―死界―」そしてポスターアートを見て“ああ、そういう作品なんでしょ?”なんて思ってはダメ!未知なる映像体験に惹きずり込まれること請け合いのホラーの逸品!是非、劇場で体感しまっしょ!
最後にまた言うがダニー&オキサイド・パン!アンタらマジ凄い!これはマトリックス以来の映像革命だ!・・・茶柱ゾッコンです!
ホラーとは総合ゲージツだなあ・・・。
text by... 茶柱達蔵
2007/06/22