えんどうファミリークリニック
こんにちは、えんどうファミリークリニックです。
「Feed a cold(風邪には食べよ), starve a fever(熱には食事を控えろ)」という言い伝えを聞いたことはありますか。今回は、最新の研究スライドをもとに、食べること(摂食)と免疫の主役・T細胞の働きについてご紹介します。
食べたあとのT細胞は、絶食中より元気に働く
獲得免疫の主役であるT細胞は、活性化して働くときに多くのエネルギーを必要とします。研究では、「食後6時間のヒトやマウス」と「絶食状態のヒトやマウス」のT細胞を比べたところ、食後のT細胞の方が、細胞の中へのグルコース取り込みや脂肪の蓄積、ミトコンドリアの大きさなどが上回っていました。
さらに、食後のT細胞は、IFNγやTNFといったサイトカイン(免疫物質)をより多くつくり、マウスの感染モデルでは感染を防ぐ力も高いことが示されています。ヒトのがん免疫療法で使われるCAR-T細胞でも、食後の方が明らかに強い抗腫瘍作用を発揮していました。
ポイントは「脂質」:食事がT細胞の代謝を組み替える
こうした効果は、とくに脂質の多い食事をとったときに顕著で、血液中のリポ蛋白(カイロミクロン)がT細胞を刺激し、mTORという経路を活性化することで、T細胞の代謝が「リプログラミング」されて機能が強まることが示されています。
スライドのまとめには、「食事由来の脂質がT細胞の代謝を組み替え、その機能を強化する → 食事はT細胞の機能強化に重要である」と記されています。つまり、適切な栄養をとることは、単に体力をつけるだけでなく、免疫細胞そのものの力を引き出すうえでも大切だと考えられます。
もちろん、体調が悪いときに無理にたくさん食べる必要はありませんが、「長く食べられない状態が続く」と免疫にも影響が出てくる可能性があります。発熱時の食事量や内容でお困りのときは、遠慮なくご相談ください。
※本記事は、Kumar Aらによる「食事とT細胞機能」に関する研究スライド(Nature, 2026年4月29日掲載)をもとに、一般の方向けに内容をかみくだいてご紹介したものです。個々の栄養管理や治療方針は、病気の種類や体調によって異なりますので、具体的な対応は担当医・管理栄養士とご相談ください。
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